解析学

リプシッツ連続の定義とその性質

本記事ではリプシッツ連続な関数の性質について述べます.適宜更新していく予定です.

リプシッツ連続であることの定義

関数がリプシッツ連続である事の定義は,次のとおりです.

定義 1

$(X,d_X),(Y,d_Y)$ を距離空間とする.$f:X \to Y$がリプシッツ連続であるとは,ある定数 $L \geq 0$ が存在して次が成り立つことをいう:$$\forall x_1,x_2 \in X,\ d_Y(f(x_1),f(x_2)) \leq L\cdot d_X(x_1,x_2)$$ この $L$ をリプシッツ定数という.また,リプシッツ定数を明示して $f$ は $L$-リプシッツ連続であるなどという.

リプシッツ連続な関数の性質

他の連続性との関係

命題 2

リプシッツ連続な関数は一様連続.したがって特に連続でもある.

証明

$(X,d_X),(Y,d_Y)$を距離空間,$f:X \to Y$ を $L$-リプシッツ連続な関数とする.$L=0$ なら $f$ は定値写像なので明らか.$L>0$ の場合を考える.$\varepsilon > 0$ を任意にとり,$\delta := \frac{\varepsilon}{L}$ と定める.このとき,$d_X(x_1,x_2)<\delta$ なる任意の $x_1,x_2 \in X$ に対し,$$\begin{eqnarray}d_Y(f(x_1),f(x_2)) &\leq& L \cdot d_X(x_1,x_2)\\ &<& L \cdot \delta = \varepsilon\end{eqnarray}$$となるから,$f$ は一様連続であることがわかる.□

リプシッツ連続な関数の合成

命題 3

$(X,d_X),(Y,d_Y),(Z,d_Z)$ を距離空間, $f:X \to Y, g:Y \to Z$ はそれぞれ $L_1$-リプシッツ連続,$L_2$-リプシッツ連続とする.このとき,合成関数 $g \circ f$ は $L_1L_2$-リプシッツ関数である.

証明

$x_1,x_2 \in X$ を任意にとる.$$\begin{eqnarray}d_Z(g \circ f(x_1), g \circ f(x_2)) &\leq& L_2 \cdot d_Y(f(x_1),f(x_2)) \\&\leq& L_1L_2\cdot d_X(x_1,x_2) \end{eqnarray}$$となるから$g \circ f$ は $L_1L_2$-リプシッツ関数である.□